Monthly AOR Magazine

No' 51 Melissa Manchester / Don't cry out loud


皆さんこんにちは。

再スタートです

50号発行後、長らくお休みを頂いていた「Weekly AOR Magazine」ですが、今後は月一回の発行を目標に再開したいと思います。
今まで同様、私の気に入ったアルバムをご紹介する予定です。
そのため、AOR以外のアルバムも含まれると思いますが、ご了承ください。

これからもよろしくお願いいたします。

================== Monthly AOR Magazine [No'51] ==================

Melissa Manchester / Don't cry out loud   (あなたしか見えない)(1978)

今回はソウル色が強い一枚をご紹介します。

「メリサ・マンチェスター」といえば、日本では「山下達郎」がシングル「Standing in the light」でデュエットした相手といった方が分かりやすいでしょうか。
つまり、山下達郎がデュエットしたかった程のシンガーでもあります。

1951年にニューヨーク州ブロンクスでうまれた彼女は、その後マンハッタンで育ちました。父親がクラシックのバスーン奏者だった影響で、クラシックのコンサートに通う一方、教会でのゴスペルや街角で演奏されるサルサ等に耳を傾けていたそうです。
もともとシンガーソングライターとしてスタートした彼女ですが、都会的な音楽であるポップスの王道を進んでいました。しかし、それは有る意味で時代性との闘いでもありました。

この「あなたしか見えない」は彼女の何度目かのピークの作品です。
1978年の秋には「ケニー・ロギンス」と共作した「二人の誓い」がアメリカシングルチャートで5位を記録する大ヒットとなりました。(この曲はケニー・ロギンスとスティービー・ニックスのデュエット)
ちなみに収録アルバムはこちらでご紹介してあります。
http://www6.shizuokanet.ne.jp/mikihiko/aor050.html

同1978年には映画のテーマソング(アイス・キャッスルとザ・プロミス)も2曲歌っていて、1979年のアカデミー賞に2曲ともノミネートされています。

ノリに乗っていたこの時期の彼女が、「ソフト&メロウ」なサウンドの流行を取り入れ、実にAOR的なアルバムを発表しました。
この感覚に仕上げることが出来た理由の一つに、プロデューサーに「レオン・ウェア」を起用したことがあげられます。
のちに「ブラックAOR」と言った代名詞で語られるようになる黒人のシンガー・ソングライター/プロデューサーである彼の「アダルトでアーバンな感覚」が存分に発揮された一枚となっています。

参加ミュージシャン

ドラム    :ジェームス・ギャドソン、ジム・ケルトナー、エド・グリーン 他
ベース    :チャック・レイニー、デビッド・ハンゲイド
ギター    :デビッド・T・ウォーカー、リー・リトナー 他
ピアノ    :リチャード・ティー、グレッグ・フィレインゲンス
        メリサ・マンチェスター、ビリー・ペイン
パーカッション:レニー・カストロ
コーラス   :メリサ・マンチェスター、レオン・ウェア 他

では、簡単に曲の説明

1曲目:Shine Like You Should (かがやくあなた)
アルバムトップを飾るのはゆったりとしたテンポのこの曲。
大股でニューヨークを歩く感じ?とでも言った方が分かりやすいでしょうか。
ストリングスと多重録音されたコーラスが素敵です。

4曲目:Almost Everything
これはプロデューサーのレオン・ウェア色が強く出た曲。
まさにアダルト・コンテンポラリーなアレンジです。
レオン・ウェアのコーラスも冴えています。

5曲目:Bad Weather (恋は雨模様)
アルバムで一押しの、アップテンポかつキャッチーな曲。
真っ先にこの曲を聴いてください。腰が動きますよ^_^;
ホーンセクションも入り、非常にソウルフルな一曲となっています。
ジェームス・ギャドソンのドラム、チャック・レイニーのランニングベース、デビッド・T・ウォーカーのギター、リトナーのカッティング、レニー・カストロのタンバリン、そしてリチャード・ティーのピアノ。
もう最高のアンサンブルです!サビで16分の裏に入るホーンもこの時代ならでは。
ちなみにオリジナルは「スティービー・ワンダー」。

8曲目:Such a Morning
少し、同時期の「パティー・オースティン」に似ている歌い方のバラードです。
リー・リトナーのアコースティックギターが、朝のさわやかなイメージをよく表現していると思います。

メリサ・マンチェスターのアルバムは国内では1996年に6枚程CD化されていますが、現在は生産中止となっているようです。
もしも店頭で見かけたら、是非とも手に取ってみてください。


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