Weekly AOR Magazine

No' 44 Jarreau / Al Jarreau


皆さんこんにちは。

「音楽嗜好のズレ」

某フュージョンバンドの「結成20周年ライブ」のCDを買いました。
ドラムに興味を持ってから、高校卒業くらいの時まで必死に追いかけたバンドです。
当時の曲はほとんど完全に覚えていました。(完コピは無理だったけど)
楽器のセッティング等もいつも真似していました。
私のドラムセットの色は、今でも白で同じだし。

ところが、聞きながらものすごい違和感を感じました。
彼らのアルバムを追いかけなくなってから13年ほど経ちますが、時間的な間隔という言葉では説明できないほどの不思議な感覚です。
サウンドが現代的になったとか、若干のメンバーチェンジがあったとかそんな要因だけでもないようです。

このライブCDでももちろん当時追いかけた曲を演奏していますが、どうも私にとってはしっくりきません。
私がテクニック至上主義を卒業した事も関係しているはずです。それよりも彼らの音楽と私の音楽嗜好のズレが大きくなったことが一番の原因だと思いました。好きなサウンドもずいぶん変わったしね。

で、LPで持っているアルバムをCDで買い直してみました。
ああ、これは落ち着く(笑)。
(実は懐かしかっただけだったりして)

でも聞きながら、「あ〜、こんなバンドもやりたいなあ」なんて考える優柔不断な私でした。
(もう体が動かないと思うけど)

「Mid Manhattan」はドラマーにしか書けない凄い曲ですね。

================== Weekly AOR Magazine [No'44] ==================

Jarreau / Al Jarreau    (1983)

今回は6年ぶりの新作「Tomorrow Today」もオススメな「アル・ジャロウ」です。

彼のボーカリストとしての偉大さは誰もが認める事だと思います。
事実、「グラミー賞」の長い歴史の中で、3つの異なるカテゴリー、つまり「Jazz」、「Pop」、「R&B」でグラミーを受賞した唯一のシンガーであることからも、彼の幅広い音楽性がうかがえます。

「アル・ジャロウ」オススメのアルバムはたくさんあってどれにしようか大変迷ったのですが、「ジェイ・グレイドン」プロデュースでAOR度の高いこのアルバムを選んでみました。
参加ミュージシャンもAORではお馴染みのメンバーです。
ドラム  :ジェフ・ポーカロ、スティーブ・ガッド、etc
ベース  :エイボラハム・ラボリエル
ギター  :ジェイ・グレイドン
キーボード:デビッド・フォスター、マイケル・オマーティアン、ロビー・ブキャナン、
      スティーブ・ポーカロ、グレッグ・マティソン、etc
ホーン  :ジェリー・ヘイ、チャック・リンドレー、ビル・リッケンバッハ、
      ゲイリー・グラント、etc
コーラス :ビル・チャンプリン、etc

1983年というサウンド的には危険な年(妙にデジタル化の進んだ年)のレコーディングなのですが、このアルバムは「フォスター・グレイドン」のいわゆる「エアプレイ」サウンドとなっています。
安心して聞けるAORのアルバムです

では、簡単に曲の説明

1曲目:Mornin'
一言でいえば「お洒落」な曲。
「フォスター・グレイドン」の印がバシッと押されたアレンジです。
「ジェフ・ポーカロ」の得意なシャッフルのリズムにのって、アルもたっぷりと歌っています。

2曲目:Boogie Down
私のとても好きな曲です。
何年だったかは忘れましたが、「モントルー・ジャズ・フェスティバル」でもこの曲を歌っていました。
お馴染み「ジェリー・ヘイ」アレンジのブラスセクションが「アース・ウインド&ファイヤー」を想像してしまいます。
途中のアルのスキャット・ソロも聞き所。
ガッド先生のドラムは、打ち込みのシンセベースとも合いますね。

7曲目:Trouble in Paradise
シンセのバッキングと打ち込みのドラム(おそらくLinn)が時代を象徴していますが、「ジェイ・グレイドン」のギタリストとしての力量がうかがえます。いつものように、エンディングでのギタープレイは冴えています。
(シンセは「グレッグ・マティソン」!)

9曲目:Love is waiting
イントロのブラスアレンジが、もろ「アース・ウインド&ファイヤー」(笑)。
でも好きなアレンジです。
アルも軽やかに伸び伸びと歌っています。
ガッド先生の10インチのタムが曲にマッチしていると思うのは私がドラマーだからでしょうか。
(キックのダブル、さすがに上手いなあ)

「アル・ジャロウ」は本日3月12日に60歳の誕生日を迎えました。
年齢を重ねても音楽的に柔軟であり続けるアル・ジャロウには、これからも素晴らしいアルバムを聴かせてもらえることだと思っています。


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