Weekly AOR Magazine

No' 38 Alessi / Long time friends


皆さんこんにちは。

「Remember '80s ?」

どうも最近、CMで80年代前半の曲が使用されているのが耳につきます。
車のCMでは、「マツダ カペラワゴン」では「シンディー・ローパー/タイム・アフター・タイム」(カバー)だし、「日産 バサラ」では「イエス/ロンリー・ハート」といった具合です。

さらに「ユーリズミックス」は10年ぶりにアルバムを発表したし、「カルチャー・クラブ」も再結成して13年ぶりに新作を発表(したらしい)。「シンプリー・レッド」も元気です。
これはつまり、当時これらの音楽を聴いていた私のような世代が、消費の中心世代になったということなのでしょう。

「ベスト・ヒット・UAS」再放送してくれないかなあ。

================== Weekly AOR Magazine [No'38] ==================

Alessi/ Long time friends (そよ風にくちづけ) (1982) 

「一般的にはあんまり有名ではないAOR名盤」紹介の第4回目です(笑)。

今回紹介する「アレッシー」は「美形双子デュオ」で一時期注目を集めました。これがほんとに美形なのですよ、それも少女漫画に出てくるような。

この「Long time friends」は「アレッシー」の5枚目(そしてたぶん最後の)アルバムです。しかもレーベルは巨匠「クインシー・ジョーンズ」の「クエスト」。

「A&M」レコードから1976年に「Alessi」でデビューした彼らは77.78.79年と順調に毎年アルバムを発表。3枚目の「World and Music」はプロデュースを「ニック・デカロ」が手がけ、バックにも「リー・リトナー」、「ジェフ・バクスター」、「デビット・T・ウォーカー」等が参加しています。「スペンサー・デイビス・グループ」や「スライ&ザ・ファミリー・ストーン」のヒット曲をカバーしたりと意欲的なところを見せていました。
ルックスの良さも手伝い、日本公演も同年に実現しています。

しかし肝心のアメリカでは大したヒットも生まれなかったため、5枚目となるこのアルバムではレコード会社を移籍。
「クエスト」レコードでは「パティー・オースティン/Every home should have one」、「ジェイムス・イングラム/It's youe night」という名作2枚に挟まれた、かなり期待された1枚だったと思われます。

このアルバムのプロデュースは当時ワーナーの重役だった「マイケル・オースティン」と、当時ノリに乗っていた「クリストファー・クロス」です。「クインシー」本人は、ちょうど「ドナ・サマー」のレコーディングに忙しかったようで、クエストレーベルの中ではちょっと異色の1枚とも言えるかと思います。

で、アルバムを一言で紹介するならば「クリストファー・クロス」のアルバム。
曲も似た感じだし、声もそっくり。しかも「クリストファー・クロス」がアレンジしているし。

では、簡単に曲の説明

1曲目:Jagged edge (愛はいたずら) <かなり恥ずかしい邦題
これは「クリストファー・クロス」の名曲「All Right」にそっくり。シンセのサウンドなんかも全く同じ?
あ、「All Right」の方は発表が1983年。ということは「アレッシー」の方がオリジナル(笑)。本人が使いまわしたのでしょうか。
「スーパー・ライト・さわやか・サウンド」なので、私は一番好きな曲です。

2曲目:You got the way
キーボードに「マイケル・オマーティアン」、ギターは「クリストファー・クロス」という、これまた「クリストファー・クロス」な曲です。ミディアムテンポの良いメロディーです。
当時の「ドン・ヘンリー」(イーグルス)が歌っても似合いそうです。
なぜが1分ちょっと過ぎにノイズが入っています。 <「ブチッ」て鳴ります

6曲目:Put away your love (そよ風にくちづけ)
この曲が結果的にアメリカに置けるアレッシーの唯一のヒット。最終的にビルボード71位まで上昇。
でもこの曲、ちょっとインパクト弱いなあ。

7曲目:What a way to go (愛のゆくえ)
「パティー・オースティン」とデュエット。
完全に負けてます(笑)。 <彼女のパワーからすれば当然かな。
サックスソロは「アーニー・ワッツ」、いいソロです。ギターは「スティーブ・ルカサー」。
この曲をシングルカットした方が良かったのでは?

8曲目:Still in love
この曲だけ「ジェフ・ポーカロ」のドラム。
「アーニー・ワッツ」の「リリコン・ソロ」が時代を感じさせます。

9曲目:How long, how much
ギターに「ラリー・カールトン」、フェンダー・ローズは「ロビー・ブキャナン」、ベース「ニール・ステューベンハウス」という贅沢な組み合わせ。ドラマのエンディングなんかに似合いそうな曲です。

このアルバムからは、1曲目の「Jagged edge(愛はいたずら)」が2枚目のシングルとして発表されましたが、全くランクインせずに終わるという寂しい結果となりました。
その後彼らの名前を聞くことはほとんどなくなりましたが、「AOR末期の1982年」という時代背景が、何となく読みとれる1枚のような気がします。


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